てがみをください

 

2017/06/01

はれぼうから、毎日のように、手紙が届きます。

まだ字が書けないので、独自の文字と絵で書いてあって、
読んで、と頼むと読んでくれます。

もうあと1、2年もすれば、
ちゃんとした字もかけるようになっちゃうだろうし、
こんな手紙、あとどのくらいもらえるのだろう・・・

と思うと、
さすがの捨て魔のかーさんも、捨てられなくて
手紙の箱があふれてきた、この頃です。

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お友だち同士でも、時々、手紙交換をするし、
私たちや、おばあちゃんなどから、届きもします。

たくさん書くので、たくさんもらいます。

一方、かーさんは・・・

くれるのは、はれぼうばかり。

いつの間にか、ポストをのぞいても、
手紙が届いていないことの方が日常になってしまいました。

そう、手紙をもらうには、
自分が、書かないと、なんですよね。

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ある日、ぼくのうちの郵便箱に住み着いた
ちょっと威張ったかえる。

郵便受けに届いたぼくの手紙を読んでいるのでケンカになり、
じゃあ、どうすれば自分にも手紙がくるのかって尋ねるかえるに
男の子は、こう答えます。

「そりゃ、じぶんからも てがみを かけば いいのさ。
てがみを くださいって。」

けれど、待てども手紙は届かず、
とうとうかえるが出て行ってしまい・・・

そのあとに、気がつく、小さなすれ違い。

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ふたりの気持ちが痛いほどわかって、
どうにかハッピーエンドへと導きたくなる
切ない余韻が、いつまでも残ります。

わたしのいちばん好きな、手紙の絵本で、かえるの絵本で、緑の絵本。

そら豆、青梅、あじさいの葉
きれいな緑のあふれるこの季節、
いつも、読み返します。


「てがみをください」
山下明生 作 村上勉 絵 文研出版

 

 
 

『ことり文庫は、子どもの本と、ゆっくりとおだやかな時間をあつかっています。子どもの本のもつ、あたたかさややさしさや信頼というようなものを大切にしています。
鎌倉市極楽寺1-4-12
http://kotoribunko2525.wix.com/kotoribunko

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